こしょう。漢字で書くと胡椒。英語ではペッパーですね。こしょうはもともとインド原産。古くから抗菌・防腐・防虫作用が知られていて食肉の長期保存が難しかった中世のヨーロッパでは欠かせない香辛料でした。インドから様々な商人の手を介してヨーロッパに運ばれたこしょうの価格は当時、金と同程度だったと言われます。あまりに高価なためこしょうを数える際には風で飛ばされないように家中の扉や窓を閉め切ったといいます。ああ、タイムマシンがあったら二束三文で手に入れたこしょうを山ほど担いで中世のヨーロッパに売りに行きたい。日本では肉食が盛んでなかったためヨーロッパほどこしょうが珍重されることはなく、むしろ生薬として扱われることが多かった様子。今では日本の家庭でも洋食を作る機会が増えたのでこしょうは必需品となりましたが、せいぜい調味料の一つとして一つまみ程度加えるくらい。なので黒コショウをたっぷり使ったステーキソースに遭遇した時は正直、驚いたものです。だってあの強烈にスパイシーな黒コショウを一人分でも大さじで2杯も使っちゃうんですよ。大量の爆竹を口の中に放り込まれたかのように口中ところ狭しと小爆発が起るんじゃないかと随分心配でした。ところが一体何が作用するものなのか、完成したペッパーソースはピリッピリッとした刺激が心地良い実にマイルドで美味しいソースなんです。え?信じられない?そうですよね。これはもう百聞は一見に如かず。こしょうに対する先入観が一気に消え、こしょうの可能性がグ〜ンと広がります。オニオンソースやしょう油ベースの和風ソースもいいけれど、このペッパーソースもぜひ一度お試しください。きっと「ヘェ〜」ボタンをいっぱい押したくなるはずです。ああ、思い出しただけでも生唾ごっくん。よ〜し今夜もまたこしょうたっぷりステーキだ。
ステーキ ペッパーソース(Sauce au Poivre)
cookbuzz編集部(T)